LGBTQ先進国として名高いタイでは性別が18種類もあると一時期話題となりました。しかし、そこまで認知されているにも関わらず2019年7月現在でも同性婚法案が可決されていないことが現状です。

では、何がそれを阻んでいるのか、現地の人がLGBTQの人々についてどのように感じ、接しているのか、実際に5名のタイ人にインタビューしてみました。

対象者(以下5名) ストレイトの方々

  • ソフィラさん:27歳女性
  • メイさん:25歳女性
  • ナットくん:20歳男性
  • マヒドン大学生:24歳女性
  • チュラ(ロンコーン)大学生:20歳女性

質問内容

  • タイはLGBTQに対して寛容な国だと思いますか?(Do you think LGBTQ people are accepted in Thailand?)
  • 今までLGBTQの人と関わったことがありますか?(Have you ever interacted with LGBTQ people?)
  • LGBTQの人々についてどう思いますか?(How do you think about LGBTQ?)
  • 問題点があるとすれば何だと思いますか?(If there’s something to change to improve the current situation, what it would be?)
  • タイで同性婚は認められていますか(認知度の確認)(In thai, is same sex marriage approved by the government?)
  • 授業でLGBTQについて習ったことはありますか?(Did you learn about LGBTQ in the class?)

タイはLGBTQに対して寛容な国だと思いますか?

3名は共通に「寛容である」と断定し、1名は「どちらとも言える」1名は「寛容でない」と回答しました。

〜寛容である〜
ソフィラ
LGBTQの受け入れに関してタイは名高い評価を受けています。なぜならこの国では、身体的暴力を受ける恐れや、誰かに白い目で見られるだろうという恐怖を感じずに過ごせるからです。
私はタイでLGBTQの人々が身体的・精神的に追い詰められているのを滅多に聞きません。きっと、そうゆう人々はいるでしょうが、私の周りのLGBTQの人々がそのような文句を言っているのを聞いたことがないのです。
私は以前友人である、バンコクに住むゲイのデンマーク人にどう感じているのか問いかけたことがあります。彼は、母国デンマークより住みやすいと言いました。というのも、タイの人々は性別や性癖等をあまり気にしないというのです。
ナット
タイでは、満21歳になる年の4月に各県で行われる徴兵検査を受ける義務があるのですが、手術を行ったミスターレディたちも自分が直接会場に赴きレディであることを証明しなくてはなりません。そうすることによって検査を免れるのです。
*タイでは戸籍上男・女を変えることが不可能なため
〜どちらとも言えない〜
メイ
そうとも言えますし、そうでないとも言えます。若い年代の人々においてLGBTQに対する偏見は弱まっていますが、タイのお年寄(50代前後)の多くはLGBTQを全く受け入れない姿勢の人が多いです。というのも、LGBTQの人々の振る舞いが変であるという認識が拭いきれないことや、性は男性と女性の2つであるという固定概念に囚われていることが原因だと思います。

〜寛容ではない〜

ナット
高齢者の間では未だに偏見が強く、未だに暴行事件もあるため、寛容とは言えません。
未だ男性優位社会のタイ
ソフィラ
実際問題差別や偏見は残っています。私はこれがタイの男性優位社会に起因すると考えます。それにより、男性のセクシャルマイノリティーは女性のそれより肉体的・精神的苦痛を受けやすいのではないかと推測します。
SNSで開ける世界
チュラ大生
タイにいるLGBTQの多くは、中学生や高校生くらいからカミングアウトを始めます。それは「自我の芽生え」と共に「SNS」が深く関係していると考えます。SNSを使用することで自分以外のLGBTQの人々の存在を知り孤独感が薄まるためだと思います。

今までLGBTQの人と関わったことがありますか?

ゲイバーが立ち並ぶNana周辺

全員「はい」と答えました。

ソフィラ
私の姉はトムボーイです。スウェーデンにいる親友はゲイですし、高校生の時の友人はバイセクシャルです。そして数名の知人はゲイやレディボーイです。
チュラ大生
私は大学でマスコミ学部に所属しているのですが、3割はLGBTQです。学部の性質上、他の学部よりLGBTQが多いですし、とても仲が良いです。
売春を行うレディボーイ
メイ
私はNanaで働いているため、呼び込みをしているレディボーイたちをよく見ます。彼らの多くは売春をおこなっているためあまり関わろうとは思いませんが、同時に素晴らしいゲイの友達もいます。
日本での驚き
マヒドン大学生<br>
東京に留学していた際は、町中にレディボーイがいないことに驚きました。バイトをしていたときの店長のお姉さんがトランスジェンダーだったくらいですね。未だに日本でLGBTQが認知されていないのではないかと感じました。

LGBTQの人々についてどう思いますか⁇

全員が「セクシャリティは関係なく1人の人間として見ている」と答えました。

ソフィラ
性的嗜好はその人のパーソナリティとは全く関係がないと思います。世界には人種・文化・言葉・思考・教育レベル・経済的レベル・イデオロギーやアイデンティティの異なる人々が生きていますし他にも区分はいっぱいできます。私は彼や彼女がゲイやバイやストレートだって構いません。大切なことはその人がNice Personかどうかです。
それはあなたが車が好きということと同じです。考えてみてください。車が好きな人はいっぱいいますが、皆んながみんな同じ車が好きというわけではありません。それと同じことだと思います。誰がいつどこで恋に落ちるかなんて分からないし、それが異性とも限りません。私は愛は愛だと信じています。
メイ
wonderful and marvelous peopleだと思います。私の知る限り、彼らの多くは才能に恵まれ面白い人が多いです。近年は、彼らを支援する団体もできています。特にドラッグクィーンやゲイの人々が好きです。
凝り固まったLGBTQのイメージ
チュラ大生
タイの有名人の3割くらいはLGBTQの人です。しかし彼らの人気は「独特な言葉遣い」や「見た目」から来ています。それによってLGBTQ=楽しい人(愉快でユーモアのある人)というイメージがついてしまったのも事実です。幸運なことに、その風潮は変わりつつありますが、そうでないLGBTQの人々の方が多数だという認識も持つべきだと思います。

問題点があるとすれば何だと思いますか?

風俗店が立ち並ぶパタヤ
メイ
レディボーイの売春行為だと思います。それ以外は何もないのではないでしょうか。彼らは私たちと変わらない人間です。
ソフィラ
私はホントに早くタイで同性婚を認めるべきだと思います。ストレートの人々と同じ権利をLGBTQの人々にも認めてほしいです。実際去年の9月頃に草案が提出されたことは知っていますが、その後可決されていないのが現状です。
政府の意識

タイ政府におけるプライオリティは現在、タイにおける貧富の格差是正です。さらに、4割近い農民の支持を得るため、農民への補助等が議論されることも多く、LGBTQに対しては後回しとなっているのが現状です(7/2019)

タイで同性婚は認められていますか?

4名がNo、1名がYesと回答しました。

→法律上、タイで同性婚は2019年現在認められていません。大多数が認識している(Noと正しく回答している)ことから、他国に比べるとLGBTQについての関心は高いようです。

LGBTQについて授業で習ったことがありますか?

全員が「No」と答えました。

ソフィラ
これはすっご〜く昔のことですね。タイでは性教育はあまり発展しておらず、教師もそのようなトピックについては話したがりません。私は絶対LGBTQについて授業で習っていないと思います。しかし、周りにLGBTQの人がいたので、ゲイやレディボーイ、トランスジェンダー、トムボーイ等の語彙は知っています。
教育への信頼度
チュラ大生
タイ人の多くがタイの教育について低評価をつけています。教科書の内容にしても教師の質にしてもあまり高くないのが現状です。タイでは教育学部が他の学部に入るより簡単という考えさえあり、国民の多くが教育に対して懐疑的です。
メイ
絶対にないです。タイの教育はあまり機能していないと思います。

最後に一言

いかがでしたか?日本と同じく若者を中心にLGBTQへの理解度は高まっていると言えますが、タイのテレビニュースでは未だにLGBTQであるという理由で暴力を受ける事件が報道されます。更に、レディボーイの売春がこのまま横行すると、少なからず悪いイメージが定着してしまうでしょう。タイ政府がいつ同性婚を認めるのか、アジアのLGBTQ先進国としても今後の動向に目が離せません。

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