海外での就職・転職の可能性をあげるために、経歴書類(履歴書・職務経歴書)はとても大事です。もちろんこれは海外に限らずですが、特に日本に比べて日本人求人数は少ない=書類選考の倍率も高いので、なおさらです。
今回は、キャリアコンサルタントとしてたくさんの経歴書を見てきた中で、僕なりに良い経歴書の共通項が見えてきたので、こういう書き方をしたらいいんじゃないか、という案をシェアしたいと思います。
①アピールしたいポイントをクリアにする
・「自分が思う」ではなく、「人が見てわかるか」
当然まずは自分で振り返って整理することは必要です。ただ、自分一人でアピールポイント(強みや専門領域)をクリアにするのは限界があると思っています。それは、「他の人から見て本当にそれがあなたの強みか?」という視点が抜けていて、自己評価と他己評価にギャップが生じるという、根本がずれる可能性があるからです。
・自分で絞り出すだけではなく、人から客観的なフィードバックをもらう
このズレを防ぐために、客観的なフィードバックをもらうことは有効です。はじめは友人に見せる、とかから始めてもいいと思います。あとは、人とお互いに見せ合う&フィードバックし合うのもありです。というのも、他の人の経歴書を見て、ここはいいなとか、ここはわかりにくいなとか、人のものを客観的に見ることで自分の改善ポイントにも役立つからです。
あとは、転職エージェントに相談するも王道かと思いますが、相談する前に多少整理をしておいたほうが良いと思います。というのも、経験値の高いコンサルタントであれば、まとまっていなくてもポイントを見抜いてくれますが、そうでないコンサルタントにあたると、この人は何がポイントなのかわからないから、紹介できる案件も思い浮かばないな、と建設的な話につながらない可能性があるからです。
②アピールしたいポイントを軸に、経歴を整理する
で、ここからは ①のポイントを、どう伝えるか?です。面接官もそんなに一人一人の経歴書を熟読するわけではないので、パッと経歴書を見てある程度わかるようにしておいたほうが良いです。
・自分が就職したい国や業界で何が求められているかを抑える
①のポイントを整理する上で、読む人を意識するのも大切です。場合によっては日本でやってきたことや強みがあまり海外では活きない、その逆で日本では特に強みでもないと思っていたことが海外では評価されるケースもあります。
一例をあげるとすると、ITエンジニアであれば、「現場で自分でゴリゴリコードを書くプログラマー」よりも、
・お客さんである日系企業のニーズを吸い上げる(顧客対応/プリセールス要素)
・現地のローカルエンジニアメンバーにわかりやすく伝える(ブリッジ要素)
・進捗・スケジュール管理できる(PM要素)
的なポジションが多いので、その要素を意識しながら経歴書に落とし込んでいく、ということになります。採用する立場からしたら「この人はプログラマースキルもあるけど、既存のお客さん対応も任せられそう」とか「PMとして活躍してもらえそう」とかイメージが湧きやすくなります。
・「所属企業を時系列に書く」だけが正解ではないことも
「とりあえず所属企業を、上から下に古い順で時系列に書いてみた」という感じの人が最も多いです。
ただ、海外や外国人の英語レジュメの場合は「新しい順に上から下に書く」パターンが主流です。というのも、企業は判断する上で直近の経験を知りたいわけなので、個人的には新しい順の方が良いと個人的には思っています。
ただ、所属企業ごとに整理してみたけど、なんかしっくりこない、自分が何をしてきたのか伝わりにくいという人もいると思います。その場合は、少し切り口を変えてみるのも有効です。少し例をあげます。
例)スキルや経験分野ごとに
例えば、営業系の経験とその他(例えばバックオフィスや管理部門)がごちゃまぜでイマイチ専門性が伝わりにくいような場合。大企業でのローテーションとか、あまり関連性のない転職を何回かした、とかが当てはまるかと思います。その場合は例えば、「タイは営業系のポジションが需要は高いし、営業の経験を出したほうが良さそう」ということであれば、
<営業に関する経験>
2016-2018:xxxxx
2021-現在:yyyy
<その他の経験>
2018-2019;zzzz
というように時系列を入れ替えるのもありでしょうし、
業務委託や派遣社員で短期の就業が多い場合は、
<正社員としての経験>
xxxx
yyyy
<その他:派遣や業務委託等>
zzzz
のように整理すると、スッキリする場合もあります。
例)プロジェクトごとに
これは特にIT系のエンジニアやフリーランスや業務委託形態が多い職種に多いです。フリーランスで単発の案件をこなしたり、エンジニア派遣の会社に登録して常駐先ごとにアサインされるとかがあると思います。その場合は所属企業で整理するとややこしい(あとはただただ、パッと見の転職歴が多く見えてしまう)ので、プロジェクトごと、あるいは案件の性質や使用言語ごとに分けるとかもありです。
③第一印象でのマイナスポイントを減らす
・ちゃんとした顔写真を貼る
これ、実は結構バカにならないです。そもそも顔写真がない人も結構います。写真を撮るのが億劫な人もいるかと思いますが、候補者を認識する上でまず最初に思い浮かべるのは顔です(あとで思い出す際に、顔写真を見ればどんな経歴の人だったか思い出すケースがほとんどです)。写真がないと印象に残る確率がぐっと下がるので、スマホでサクッとでも、ないよりは良いかと思います。
で、できたら自撮りではなくお店やちゃんとしたカメラで取ってもらったほうがいいと思います。個人的には、就活やパスポート証明写真のような、おかたーいものよりも、少し個性が出るようなもののほうが差別化できると思います。(笑顔とか、業界によっては斜め向いて腕組んでプロフェッショナル感が強いものとか)
経歴書で一番最初に目を通すところなので、もっとちゃんとやるべきと思います。
・転職歴が多い、という理由だけで落とされないように工夫する
僕のいるタイの日系企業の場合、どうしても転職歴が多いから、という理由だけで選考が通らないケースも正直あります。もちろん経歴詐称はNGですが、書き方の工夫次第でスッキリ見せて、ぱっと見でマイナスな印象を減らすことは可能です。例えば、②の項でも触れたように、短期での職歴(派遣や業務委託も含む)が多い場合は、長期のものと分けて書く。もしくは、転職理由を補足して書く、だけでも印象は違うと思っています。
まとめ
海外就職に限らず、転職活動をする上で経歴書というのは、最初の可能性を決めるとても大事なものにも関わらず、あまり力を入れていない、書き方がわからないという人が多いです。逆に言えば、これをちゃんとやったかが勝敗を分ける、と言っても過言ではありません。
まだまだ僕も経歴書の書き方の最適解は研究途上なので、これからこの記事をどんどんアップデートしていこうと思います。
もし経歴書の添削やアドバイスが欲しいという方はご連絡ください。
※できれば一緒に経歴書も送っていただけるととても助かります!