【タイ就職/転職】知っておくべき「書類選考の実情」とは

サワディーカップ、アジラボのリョータです。

今回は、タイでの転職活動における「書類選考のリアル・裏側」についてです。

これからタイでの就職を目指す方にとって、知っておいて損はない情報だと思います。

というのも僕自身も初めて海外で転職活動をした際に、応募した求人の書類選考結果の連絡がエージェントからないこともあって、

リョータ(求職者)
担当者が忘れてるのかなぁ?もしかしたら相手にされてないのかなぁ?

とはいえ、毎回「結果どうでしたか?」と聞くのも気がひけるし。。。

こう思うことも良くありました。

でも、やっぱりせっかく応募してるんだから、せめて結果だけでも知りたいし、できれば次に繋げられるフィードバックも欲しいですよね?

そこで、“実際裏側ではエージェントと企業の間でどんなやりとりが行われているのか”、キャリアコンサルタントに直接話を聞いてみたいと思います。

話を聞いた人

前田 健太さん

アデコタイランドの日本人部門マネージャー。タイでの日本人紹介1本で約8年間の経験を有し、アデコのグローバルアワードでも毎年表彰を受けるほどの実績を持つ。求職者一人一人に真正面から向き合うことをモットーとする。

日本とタイでの選考における違いとは?

前田:

はい、ご質問頂きありがとうございます!

この疑問を持っていらっしゃる求職者の方は多いので、この機会にご説明させていただければと思います。

確かに、事実として書類選考のフィードバックを積極的には行っていない状況なので、ただただ求職者からすると「連絡くれない人材会社」と思われてしまわれがちなのも事実です。

 ー (僕はそう思ってたことあります。。。笑)

実はこれには、日本とタイでの選考における違いが関係しているんです。

少し説明をさせていただきますと、タイの場合は日本の様に日本人が人事部にいて書類選考に関しても管理をしている、ということが多くはないため、そもそも書類選考結果についても企業からのフィードバックが得にくいという背景がございます。

 ー なるほど。「ただエージェントが求職者に連絡をしない」っていうわけではないんですね。

はい。といいますのもタイでは、

  • タイ人のHRとやり取りしているケース
  • 直属の上司となるようなマネージャーや社長といった役職が高い方とやり取りしているケース

2パターンが多いのですが、

タイ人HRの場合は積極的に書類選考の結果を回収して下さらないケースが多く(間接部門であり且つ駐在員の方や日本人マネージャーの方々との関係性がそこまで良好でなかったりすることが意外と多かったりするため)、

役職が高い方の場合は興味がある場合はすぐに連絡をくださるのですが、そうでない場合は特にお返事がないケースが多く、そもそも採用活動を多忙を極めているなかで片手間でやっているケースがほとんどであるため、私どもとしても原則としては 連絡がない=興味がない、ということを察してください” というメッセージとして解釈をしているケースが多いです。

そして何よりも今は「買い手市場のマーケット」であるため、レジュメが数多く企業側に届いている状況ですと特に返事が一切ない、という状況に陥りやすいです。

 ー 確かに。以前の記事でも紹介しましたが、特に人気のバンコクなんかでは一つの求人に応募が殺到するような状況もあるので、採用担当者の方の状況も想像できないでもないですね。。。

参考記事:

2020年版】「タイ就職/転職最新動向」についてタイでの日本人紹介歴8年のコンサルタントに聞いてみた

選考結果のフィードバックがない=必ずしもネガティブな状況ではない?

しかし、実は回答がないことはデメリットばかりでもないです。

順を追って説明をしていきたいと思うのですが、まず、面接が入らない理由は色々あると思うのですが、大きいところでいうと以下の2パターンがあると考えておりまして、

  1. 先方の希望や要件を満たしていないため
  2. 先方の希望や要件を満たしてはいるものの、より有力な候補者がいるため

返事がない時も上記のいずれかであるケースが多いのですが、2の場合はお見送りか保留かの判断がその場ではできずに企業としても“お見送り”という明言を避けたいという心理が働いている可能性もあるため、私どもとしてはできるだけ追求を避けたほうがいいと考えます。

 ー ということは2の場合、まだ可能性が残っていると考えていいってことですかね?

ゼロではないと思います。

といいますのも他により有力な候補がいたとしても、将来的にその有力候補なる方が何かしらの理由でNGになった場合(内定が出なかった、や内定が出ても辞退した、等)、回答がなかった方に関しても再度打診をすることによって将来的に面接依頼を獲得できるかもしれないためです。

つまりこちらから意思表示を催促してしまって、はっきりとした“お見送り”を仮に頂いていしまうと、将来的にチャンスがめぐってきても弊社としても先方としても、一度お見送りとした手前、人間心理的に再度打診/検討がしにくくなってしまうというネガティブな作用が働いてしまいます。

 ー なるほど。「そういえば以前紹介した方はいかがですか?」ってしれーっと聞きやすいってことですね?

そういうことです。

上記以外にも、そこまで多くないですが「面接官の方がはっきりとNOを言いたがらないケース」もありますね。。

ちょうど求職者の方にこの求人はどうですか?と紹介をして、応募はしたくないけどせっかく紹介をしてくれてる手前“応募をしたくないです”とはっきり言いにくいので結果返事をしない、というケースの様に。。。

 ー 求職者に置き換えてみるとその心理状態はわかる気がしますね(僕なんかスカウトメールが来ても結構読み飛ばしちゃいますからね。。。笑)

本来であれば企業側が最悪(第一候補が成就しなかったケース)を想定して、例えば次点となりうる方には事前に声をかけておく、というような計らいがあればいいのですが、日本の様に人事部が日本人で構成されているならまだしも、語弊を恐れずに言うと採用活動に関してはあまりリテラシーが高くない方々が片手間で採用活動をしているケースも珍しくないため、合理的に判断できていないケースがかなり多いと思います。。。

しかしながら、だからこそ私どものような人材紹介会社の介在価値があると思ってて、つまり私どもがフォローをしながら虎視眈々と適切なタイミングを見計らって、ここぞというタイミングで再提案をする、という一見するとメリットがなさそうな、このどっちつかずな宙ぶらりんな状況を逆手に取ることが大事だと考えます。

志望度が高い企業については、遠慮なくエージェントに確認してみよう

ちなみに求職者側からの強い要望(主に志望度合いが高い等の理由が多いです)に基づいて催促をすることはありますため、ご希望の場合は仰っていただけたらと思います。

(もちろん弊社の企業担当の判断で催促をしない、という判断に至ることもあるため、必ずご希望に応えれるわけではないのですが、、)

あと書類選考の結果がないまでにも、弊社の見解をシェアする、ということも弊社の介在価値の一つだと考えるのですが、求職者の方々にもいろんな温度感で就職活動をしている方々がいるため(すごい急いでいる、急いでいるけど妥協するつもりはない、急いでいない、そもそもタイ就職をしようかどうか迷ってて情報収集段階等々。。。)、

また人材紹介会社のコメントをあてにしていない方もいらっしゃるかと思われます為、画一的に、そして一律でフィードバックをする、というよりも現状としては候補者の要望に基づいてフィードバックをさせて頂いている状況です。

なかなかこういった話は面談の時に全ての方に対しご説明させて頂く事が難しく、この場を通して少しでも事実をお伝えできていれば幸いです。

 ー なかなかこういうリアルな裏側をエージェントの方から聞く機会ってないので、貴重だと思いますよ。色々話していただきありがとうございました!

 

リョータ: アジラボ編集長。タイ・バンコク在住。20代で4カ国勤務を経験し、現在は海外就職に関する発信&キャリア支援を行う。『海外で働く・生きる』のリアルを発信 ■大学純ドメ体育会→挫折&留年→バックパッカーで海外に目覚める→新卒NTT&インド駐在→海外就職で戦略コンサル→現在