アジラボ

アラサー既婚女性の単身バンコク着任記

「新婚さんなのに単身赴任なんて、そんなの寂しくない?」

「旦那さんが残って奥さんが海外って、珍しいね。前例がなくて大変そう。」

「子どものこととかどうするの?」

この約1年の間、何十回と言われてきた言葉たち。答えは一つ、マイペンライ!だ。

だいじょうぶ。私は元気よく、単身タイで働いている。

きえ

2020年9月〜バンコク在住のタイ初心者。92年東京生まれ、既婚、子なしのアラサー。 日系企業7年目、結婚2年目で夫を日本に残しバンコクのグループ企業に出向。タイ人同僚やインド人ボスと働く愉快な日々を楽しみながら、TwitterやYouTubeのVlogにて等身大の学びやおいしかったものを発信中。

目次

タイへの赴任が決まる。でも私は【新婚】

2018年に結婚し、2019年から東京で同居を始めた。私はメーカー勤務。4歳上の夫は都内の他企業勤務。

盛大に結婚式を終え、私の実家の近くでの新婚生活も落ち着き始めた矢先。ある社内公募が目に入った。翌年から1年間の海外勤務。グローバルに活躍するためのリーダーシップやスキルを養うという。先輩たちに聞けば、そのまま長期で駐在員になる可能性も高いらしい。

当時社会人5年目。今後のキャリアについて迷っていた。入社から営業、営業サポートと営業部門ひとすじで働いてきていたが、このままずっと国内営業の道を進んでいきたいかというとそうではなく、より自分の視野を広げたい、できることを増やしてレベルアップしたい、という気持ちが強かった。

海外で働いてみたい気持ちも間違いなくあった。幼い頃からディズニーチャンネルや海外映画を観て育ち、語学力には自信があったし、何度か海外旅行に連れて行ってもらったときは、自分の知らない世界を見るのがこの上なく面白かった。中学の頃には、わたしは将来どこか知らない国で働くんだろう、という漠然とした妄想をしていた。

そんな私にとって、またとないチャンスだ。コロナウィルスの「コ」の字も聞かなかった2019年。どうしても挑戦してみたかった。

ただ、目の前に立ちはだかったのは「新婚」という事実。家を探し、家具を取り揃え、お互いの部屋もでき、通勤ルートや買い物の場所も確立し。やっと生活が整った、というところ。家は買おうか、子どもは、もしできるなら、いつごろ何人ほしいか。そんな近い将来の話も半分楽しく、半分本気でし始めたところだった。

たくさんの考えが頭をめぐった。いまここで私が「来年海外に行きたい」なんて言ったら、びっくりするだろうか。するだろうな。せっかく結婚したのに、1年かそれ以上、日本で待たせる?悲しむだろうか。それとも一緒に来てもらう?いや、夫も私も働き盛り。それはない。子どもは?年齢的に3年くらいで考えたいねと言っていた。もし駐在になったら……?同じ時期に結婚した友人たちは早くに子どもを授かったり、家を買ったり、それぞれに幸せそうな家庭像を築いている。そんな中、海外に行きたいなんて、いいんだろうか。

決断を支えてくれた【夫】の存在

ー「おお!海外いいね!頑張ってよ!」

夫の返事は、とんでもなく拍子抜けする明るい言葉だった。一週間ほど迷った末に意を決して相談した結果が、これ。

「え、でも○○さん(夫)仕事やめられないから単身になるよ。1年だし、それ以上かかるかもしれないし。せっかく家だって借りたのに。子どもはどうしよう。早いうちに考えないと…」

うろたえる私にも平然と返す夫。

ー「単身や遠距離なんて、今までやってきたのと一緒じゃん。(※)家賃は俺の一人暮らしってことで俺が払うし、子どもは3年後にまた真剣に考えようよ。」

(※交際期間に私の地方転勤で3年間遠距離恋愛をしている)

少し考えて、付け足した。

ー「まだ今決めることじゃないけど、もし仮に1年後きえちゃんが駐在員になったら、俺が会社辞めてついていくっていう選択肢を考えてもいいかもしれないし。子どもが欲しくて一緒になったほうがいいなら、そうしたらいい」

PCひとつあればできるフリーランスの仕事を身に着けて、兼業主夫としてついてくるのも「ない選択肢ではない」という。

驚きながらも、視界がぱっと開く感覚をおぼえた。そうか、そういえば、わが家のモットー(というか暗黙の了解)は「なんでもちゃんと議論する」。それから、「ウチはウチ」だった。

結婚したら2人仲良く暮らすもの、家事はちゃんと分担して、子どもや家の計画を立てながら、腰を据えて生活して……。私は海外で働きたいという大きな夢を持ちながら、そんな「家族とはこういうもの」という狭小な考えに囚われていた。

私たちの結婚生活なんて、私たちが決めること。あまりにあっけらかんとした夫の答えに、ふと気づかされたのだった。

【いざタイへ】様々な刺激と共に

2020年9月。もともと4月の予定だった渡航はコロナ禍の影響で半年延期になったが、無事に私はタイの地に降り立った。夫とは2‐3日に一回LINE通話をし、今夫がハマっている筋肉YouTuberの話や、その日あったことを楽しく報告しあっている。

夫との関係はタイに来る以前よりもっと良くなった。私は異文化を理解するのに苦労しながらも、ゆっくりひとつひとつ壁を乗り越え、希望した東南アジアのデジタルマーケティングを勉強しながら働いている。タイでの生活は驚くことばかりで、タイ人の興味深い行動や、新しく学んだ文化やタイ語単語を夫に共有するのはとても楽しい。

夫はいつか一緒に海外で働くかもしれない日を見据えて、苦手だった英語の勉強や資格の勉強に勤しんでいる。TOEICの点数が思ったより高かったこと、海外ドラマのセリフの意味が前よりわかるようになったこと。そんな日々の成長を聞くのも嬉しい。日本で一緒に暮らし働く生活以上に、お互いに刺激を与えあえている感覚がある。

タイ在住で見つけたキャリアの可能性と夫婦の形

キャリアの可能性を広げたい、海外で働いてみたい、というような、冒頭に書いた私の想いと同じ思いを持っている人は、男女問わず少なからずいるはずだ。そして、「結婚したら(結婚してるから)難しいんじゃ」となんとなく悩んでしまう人も「将来の家族計画のことを考えると……」と思いとどまってしまう人も少なくないと思う。実際に、そうした懸念と自分のキャリアとを天秤にかけて苦しんでいる人を、私も周りでも何人も見てきた。

まずは「結婚したら、家族を持ちたいなら難しいかも」となんとなく考えてしまう心のバリアを取っ払ってみてほしい、それが私の考えだ。

私に夫がいるように、相手のある話なので簡単にはいかないが、もしかしたらできるのかもしれない、話し合えば可能なのかもしれない、と思ってほしい。

私は、(もし仮に、の話だけれど)海外駐在員になって夫が帯同で来てくれたら、駐在しながら自ら現地に赤子を産み落とす、まだ珍しい駐在員ママになってみたいなと妄想している。「前例がなくて大変そう」?前例なら自分で作ろう。

夫婦のかたちも、家族のかたちも人それぞれ。

自分たちだけの、サバイ(快適)サヌック(楽しい)サドゥアック(便利)をこれからも探していきたい。

きえ

2020年9月〜バンコク在住のタイ初心者。92年東京生まれ、既婚、子なしのアラサー。 日系企業7年目、結婚2年目で夫を日本に残しバンコクのグループ企業に出向。タイ人同僚やインド人ボスと働く愉快な日々を楽しみながら、TwitterやYouTubeのVlogにて等身大の学びやおいしかったものを発信中。

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