【タイ転職/対談】「大企業をやめ海外に出る」という選択
サワディーカップ。アジラボ編集局です。
今回の企画は、新卒大企業を経たのち、自らの意思で海外就職を決め、現在はタイでキャリアを切り開くお二人に「大企業を飛び出して、海外挑戦すること」をテーマに対談いただきました。
海外でのキャリアを考えている方、現状や今後のキャリア・働き方に迷っている方は必見です!
対談者プロフィール
タイ・バンコク在住。海外(アジア)在住歴は5年目。20代で4カ国勤務を経験。立教大学経営学部卒。大学で目標を見失いかけた時、一念発起しバックパッカーとして東南アジアを周遊&インドにて開発インターン。「海外で働くこと」に目覚める。新卒でNTTコミュニケーションズ就職後、入社2年目からインドのムンバイへ1年間のトレーニー派遣を経験。その後悩んだ末にアジア就職を果たし、戦略コンサルティング企業にてタイ&ベトナムに約3年間勤務。現在は当メディア編集長&キャリア支援を行い、海外就職/キャリアについて発信を行う。
タイ・バンコク在住。早稲田大学理工学部卒。大学時代はプロキックボクサーとして活動後、新卒で大手広告代理店に入社。主にスポーツに関わるビジネスに従事。その後ベンチャー企業へ転職し、有名格闘家のマネージャーとして活躍。その後、長年思い描いた「海外で勝負する」を実現するべく、タイへ移住。現在はイベント事業を行う企業に所属しながら、海外キャリアを切り拓いている。アジラボ運営メンバー/プロデューサー
なぜ新卒大企業を選んだのか?
リョータ:
こうきさん、今日はよろしくお願いします。お互い「大企業出身かつ自分の意思で海外に出てきた身」として共通点がたくさんあるので、この対談をずっと楽しみにしてきました。
こうき:
僕もです。よろしくお願いします!
リョータ:
早速ですが、そもそもなぜ新卒で大企業を選んだのか?から話していきましょうか。
こうき:
はい。僕の場合、やりたい仕事が明確にあるわけではなかったので、「とりあえず大企業」が妥当だったというのが本音です。その当時は、ほとんどの新卒生がそうだったと思いますね。
そこに僕の場合は、「海外に携われる」ということで商社やメーカーを軸にしてましたが、それに加え、自分は大学時代からキックボクサーとしてプロのリングで活動していたこともあり、スポーツに関われるという要素が決定打となり1社目の広告代理店を選びました。
リョータ:
僕もほぼ同じです。「ファーストキャリア大企業」は、とりあえずつぶしが効きそうというのが大きかったですね。今振り返ると当時はそんなに深く考えられてなかったのですが、結果的にこの判断は正しかったと感じてます。
あとは「若くから海外に出られる」という基準で、商社やグローバルメーカーを見ていました。最終的に入社を決めた理由は、最速で新卒2年目からトレイニーに行けるチャンスがあることも大きかったですね。
なぜ転職しようと思ったのか?(経緯/プロセス)
リョータ:
次に、大企業をやめて転職を考えた理由や経緯について話しましょうか。
激務を経て、ふと自分の人生を見つめ直した
こうき:
僕は新卒で配属された部署がかなりの激務で、時に終電で帰れない日が続くこともありました。
そこで約2年間の勤務を経て、希望を出し部署を移動したんです。引き続き激務ではあったのですが、希望していたスポーツの仕事というのもあり充実してました。
3年ほどすると、部署内異動で全く違う仕事になりました。異動後は以前に比べ余裕ができたので、キャリアや人生について考える時間が持てるようになりました。以前はそれを考える余裕すらなかったので。
それに、待遇にも恵まれている会社だったので、それまではがっつり働いて派手にお金を使う、みたいな生活でしたし、周囲もそんな人が多いのであまり疑問も持っていませんでした。
ただ時間ができて、先のことを考えたり、色んな情報に触れる中で、これって自分が望んでいた人生なのかな?と思うようになったんです。
ちょうどその時ミニマリストとかWEB系フリーランスという言葉が流行り始め、好きな場所や時間も自分で決めるような価値観を知ることで、
「そもそもこんなに高給いるのかな?」とか「妻が札幌出身で自分も好きなので、将来的にはここに住むのもいいのではないか?」なんてことも考えるようになりました。
また、海外で働きたいというのも心のどこかでずっと考えてました。
当時は超有名企業のブランドを背負っていることもあり、その看板を失った時に自分に何ができるだろうとか、仮にあまり望まない仕事内容や部署に配属されるならば、自分の力でやりたい仕事をできるようになったほうがいいのではないかとか。
要は、肩書きやステータスではなく、しっかり個の力で生きていけるようになりたいと思ったんですね。
自分の意思で勝負する場所やタイミング、フィールドを決めたかった
リョータ:
僕の場合は、とにかく早く海外に出たかったというのが大きいですね。
入社前からの希望通り、入社2年目にして海外トレイニーで1年間インドで働かせてもらうことができ、もちろんこのまま大企業で海外駐在を狙うチャンスもありました。
ただ、最低でも30歳過ぎと時間がかかるし、自分の意思だけではどうにもならないことがネックでした。
それに、トレイニー(駐在)を経験したことで、駐在が自分にとって本当にベストなのかという疑問も湧きました。
こうきさんと同じように、個として力をつけていく必要性も感じていたし、何より自分の意思で勝負する場所やタイミング、フィールドを決めたかった、というのがありました。
転職活動はどう進めた?
リョータ:
転職活動は実際どう進めましたか?
こうき:
先ほど言ったような違和感を抱き始めてから、まず動いてみようと思い、いろいろなオプションを洗い出しました。まずは社内異動を考えたり、収入面でのリスクも洗い出しました。そこから無駄な支出を削りまくったり。それから会社の外の人の話を聞くために、とりあえず会社をやめた知り合いにかたっぱしから会いに行きました。
実際にエージェントにも登録し活動を進めましたが、すぐには決まらなかったですね。
それでも、進めていく中で自分が最も興味のあるスポーツに関わること、しかも自分がプレーヤーでもある格闘技関係に携わることができる国内のベンチャー企業からお誘いをいただきました。
それに何より経営者がとても魅力的で、この人であればついていけると直感が湧き、これが決定打となりました。
本当に自分がやりたいと思える選択肢だったし、ここまで納得感を持てていなければ、おそらく動かずにそのまま残っていたかもしれません。
リョータ:
僕の場合、新卒で入った会社を入社4年目でやめ、2社目で海外に出てきたのですが、実は転職しようと思ったタイミングはその一年前くらいにも一度ありました。
しかし結果的に今じゃないと思い、断念したんです。要は、全然ちゃんと深く考えられてなかったんです。
この話は長くなるのでまた詳しくしますが、それもあり次の転職時はかなり慎重に、大企業を出ることのメリット、デメリットを洗い出し、時間をかけて納得できるまで検討しました。
ある程度自分の中で転職、海外に出ることへの意思が固まってから、東南アジアのエージェントに登録し、それだけでなく知り合いのつても使いながら、現地で働くいろんな人と話しました。
それから、長期休暇を使って面接を兼ねた現地視察もしたのですが、自分の中ではこれが大きく背中を押してくれたと思います。
頭で考えるだけでなく、自分がここで生きることを五感でイメージできたからこそ動けたというのはあります。人間を最後に突き動かすのは、やっぱり感情だなと。
海外に出た今、振り返ってどうか?
リョータ:
最後に、こうしてお互い海外でチャレンジしている身として、「大企業をやめるという選択肢」は今振り返ってみてどうですか?
こうき:
もちろん、今振り返っても後悔はありません。決断するまでもしっかり時間をかけて検討してきたし、自分の中で区切りもついたタイミングだったので。
長くから描いてきた「海外で活躍すること」、それから大企業時代の経験を通して芽生えた「会社や肩書きに依存するのではなく、個人としての力をつけること」この二つがしっかり満たせている感覚があります。
リョータ:
とはいえ、たまに日本にいる同期・同年代と比較してしまうことってないですか?
僕は以前、ときに意識することもありました。
もちろん自分の意思で決めたとはいえ周囲にロールモデルもいなかったので、キャリアやライフプラン・お金といった面で全く不安がないわけではなかったです。
まぁ在住期間も長くなってくると、自然と腹をくくれるようにはなってきましたけどね。
こうき:
僕はあまり比較することはないですね。というのも、そもそも人と比べるタイプではないというのと、仕事の話って根本的な考え方が必然的に合わなくなってくるんですよね。
似た様な業界で仕事をしてるのに考え方が変わってくるというか。ふざけた話をするのは本当に楽しいんですけどね。
それよりも海外に出てきてからは、「自分の意思で動く」、「自分の名前で生きる」こういった価値観がより強くなってきたので、同じようなスタンスで生きている人に自然と引き寄せられますね。
ちなみにですが… お金の使い方もタイに来てからだいぶ変わりました。
1社目の大企業時代は待遇もそれなりによかったのですが、なぜか全くお金が貯まらなかったんですよね(笑)
ただタイに来てからは幸せの基準が変わった気がしていて、いい意味で幸福のハードルが下がったんですよね。あまり物質的なものに価値を感じなくなったというか。
実際に、タイに来てからの方が貯金できる額も増えましたね。
リョータ:
それ、めちゃわかります笑
僕も海外に出てきた選択を振り返ると、結果的に自分の価値観や幸せの基準が研ぎ澄まされたと思っています。
これは大前研一さんの有名な言葉の一部で、
自分を変えるには、
① 住む場所を変える
② 付き合う人を変える
③ 時間の使い方を変える
というのがありますが、海外に出ることはこの3つ全てを変えることができると思うんです。
だから殻を破れずモヤモヤしてる人には、自分を変える大きなきっかけになる可能性があるし、僕も日本にいたときに抱いていたモヤモヤした閉塞感みたいなものから解放された気もします。
もちろん、海外に出てきても変わらなかったこと・変われなかったこともあるけど、変われてよかったことの方が断然多いことは確かです。
今いる環境にウダウダ言うだけで、努力もせず変わろうとするのはあれですが、ある程度やってみた結果、環境を変えるというのは悪くない選択だと思いますね。
対談を終えて
お二人のアツい対談、いかがでしたでしょうか?
次回は「日本を出るタイミング(すぐにでも出るべき?ある程度やりきってから/経験を積んでから出るべき?」について更に深掘っていきますので、続編もお楽しみに!!