- タイ就職は人気かつ競争率も上がっていて、長期戦になることも
- でも「タイで働くことへの “熱量” 」があれば、チャンスは広がっている
- そのためには、「仕事を選ぶ上での優先順位をクリアにすること」と「粘り強く取り組むこと」が重要
サワディーカップ、アジラボのリョータです。
「タイは日本人の海外就職先としても人気だし、実際に住んでいる人もたくさんいるから、就職しようと思えばわりと簡単にできるんじゃないの?」
そんなイメージを持っている方、実は多いのではないでしょうか?
何を隠そう、僕自身も初めてのタイ就職をするときはそう思っていました。
しかし最近は、「人気=就職しやすいというわけでは必ずしもない」状況とのこと。なぜなら、人気ということはその分「競争率も高い」からです。
…と、これを聞いて不安を覚えた方、ご安心ください。
まずは現状をちゃんと理解して、自分に何ができるのかを、一緒に考えていきましょう!
ということで今日は、「タイ就職を実現させる人の共通点」について、おなじみの “タイでの日本人紹介歴8年、タイ就職事情を知り尽くしたキャリアコンサルタント” の前田さんに聞いてきました!
共通点① 仕事を選ぶ上での優先順位が整理できている
■ 整理した上で「タイ就職」が上位に入っているか?
前田:
仕事を選ぶ条件は、人によっていろいろあるはずです。
ただこれは転職全てに言えることですが、あれもこれも満たせるユートピアというのはなかなかあるわけではありません。
なので、まずは仕事を選ぶ上で譲れないことを明確にし、どんなに多くとも上位3つを満たすことに集中するのが有効だと思います。
要は、「タイで働くこと」を何よりも優先したいのであれば、必然的に次点は折り合いをつける必要性が出てくるからです。
“特に海外就職の場合は、最初からあれもこれもと100%を求めない” ことが重要です。
ー 確かに。。。いや、わかるんですよ、わかるんですけどそうは言っても「目をつぶれないこと」もあるじゃないですか?例えば一番大きいのは給与とか。あとは例えば仕事内容とか勤務地とか色々あると思うんです。
前田:
はい、もちろんわかってますよ(笑)
もちろん理想を追い求めること自体は間違っているわけではありません。
ただ私が伝えたいのは、”最初から” 100%を求めないということなんです。
長くタイあるいは海外でやっていきたい意思があるのであれば、ある程度の期間タイで経験を積んで、キャリアアップを実現するという道もあります。
ただ、まず初めは小さくてもいいから一歩前進し、スタートラインに立たないことには始まらないわけですから。
参考記事:
【タイ就職のプロに聞く!お悩み相談室】「給与アップのために転職を考えているのですが、自分の年齢や経験では難しいでしょうか?」
■ 捉え方を変えてみると「タイへの思い」が強ければチャンスがあるとも言える
ー 現実は理解しました。それと「海外で働くこと」の優先順位が高いだけでなく、「タイで働くこと」である必要があるんですかね?
前田:
はい、もちろん海外で働くことへの思いが強ければ迷わず転職活動をしていくべきだと思います。
ただ実はですね、「海外で働きたい」と「タイで働きたい」はちょっと違うんです。
ー え、なにが違うんですか?
前田:
例えば「タイに限らずどこの国でもいい(例えば東南アジア全域)」といった場合、仮にタイで内定がもらえたとしても、必ずしも納得してタイ就職できるか、要はそれを転職の成功と呼べるかは別の話だという風に思います。
というのも、タイの日本人就職市場は今買い手市場で、企業側が求職者を選べる立場にいる状況なんです。
その場合、「海外ならどこでもいいんです」よりも「タイがいいんです!」の方が優遇されやすいことが多いんですよ。
もちろん採用する企業にとっては優秀な人材が採用できるに越したことはないですが、それ以前に「タイに定着してくれるか」が大事なわけですから。
要は「タイである理由が何かしらあって欲しい」と思っている企業も少なくないんです。
ー なるほど。優秀だけどタイに合わなかったりすぐにやめる可能性がある人よりは、タイで働くことを重要視していて、定着してくれそうな人の方が好まれる傾向にあると。
前田:
はい、これは私が8年間この仕事をやってきた中で感じる最近のトレンドであるように思います。
ただその “タイである理由” は必ずしも立派である必要はなくて、それこそ文化や人に惹かれた、生活環境が快適、パートナーの存在など、本当に人によって様々です。
ですので、建前で立派な理由を作るよりも、自分の中の「本音」を信じて動くことに自信を持っていただいていいと思います。
ー ホッ。ちょっと安心しました。
■ タイである必要がない人は、自ら他の国に流れる可能性がある
ー じゃあ、特別タイである必要はないって方はどうなるんですかね?
前田:
昔は「成長著しい環境で」という理由でタイ就職を目指す方も多かったのですが、最近はタイの経済もある程度成熟して来たこともあり、そういったいわゆる意欲の高い人(新しいことにチャレンジしたい/フロンティア精神がある)は違う国に流れている傾向にあると感じます。
それに、タイ就職は依然根強い人気があり、競争が激しく企業側が有利に求職者を選べることが多いため、仮に多少低い給与を提示されても就職したいといった方もたくさんいます。
そうすると、タイの給与水準に満足できない方は、仮に他国でより高待遇のオファーを受けた際に、そちらになびく可能性があるからです。
ー 確かに、タイであることに特別こだわりがなければ、条件の良い方に流れるのは自然かと思いますし。
共通点② 熱量があり、粘り強く転職活動に取り組める
■ 転職はやはり、”縁とタイミング”
前田:
繰り返しになりますが、タイ就職に限らず海外就職というのは短期間でスパッと簡単に決まるものではありません。
月並みですが、転職は縁とタイミングと良く言われますが、求職者個人の転職したいタイミングと、企業が人を募集するタイミングがマッチする必要があるためです。
中でもタイは、特に人気の求人には応募が殺到するため、書類選考を通過できず、しばらく経っても面接すら入らない、なんてことも良くあります。
だからこそ、最初から求人の選り好みをしすぎず、応募の数を打つことも重要になってきます。
ー そうなんですね。でも「タイは日系企業もたくさん進出しているし、簡単に就職できる」と思っている人も結構多いと思うんですが?
前田:
はい、そう思ってご相談に来られる方は多いですね。
しかし、現実とのギャップに直面しモチベーションが保てず、長期間継続ができず諦めてしまわれるパターンも実は多いんです。
一方で、タイ就職への “熱量” を持って、苦労しながらも諦めず、2、3年越しで決まったというサクセスストーリーも実はあったりします。
もちろん長くやれば必ず決まるとは言い切れませんが、ある種の「粘り勝ち」ですね。
このように、まず前提としてタイ就職への「熱量」があり、かつ「縁とタイミング」が合致すること。どちらも大事だということです。
■ 数を打つこと。そのためにはある程度の時間が必要
ー 熱量は本人次第なところがありますけど、縁とタイミングって自分でコントロールできるものではないですからね。。ただ、それでも少しでもチャンスを掴むためには、どうしたらいいですか?
前田:
この縁を勝ち取るには、やはり先ほども言ったように数を打つこと(最初から条件を絞りすぎず広めに受けてみること)が最も有効だと思います。
ただし数を打とうにも、そのタイミングでそもそも応募できる求人が出ていないことも良くあります。
だからこそ、長い目で見つつ少しでも気になる求人が出たタイミングを逃さず応募する、そしてそれを繰り返す。
求人が出てくるタイミングというのは読めないので、必然的に時間はかかりますよね。
その意味でも、ある程度の長期戦を覚悟することも必要だろうと思います。
ー なるほど。思ったよりもタイ就職は簡単ではないという理由も納得できた気がします。でも見方を変えれば、簡単ではないからこそ、熱量を持って粘り強く取り組めれば、それが実はライバルと差をつけるポイントになるかもしれませんね。
前田:
おっしゃる通りです。
全体的にタイ就職の風向きは良いとは言えないですが、それはタイに限らず海外就職全体を見ても似たような状況ですし、依然としてタイは色んな意味で海外就職第一歩目としては適性の高い国です。
ただ先ほどお伝えした「数を打つ」に関しては、条件を狭め過ぎないとは言いつつも、最低限の軸は持っておくに越したことはありません。
その軸を見つけて行くには、求職者ご本人だけでクリアにしていくよりも、実際の求人を見て比較したりですとか、面接を受けて行く中でわかってきたりですとか、キャリアコンサルタントと話しながら客観的に考えたりなど、考えるよりも動いて行く中で見えてくることが多いと思うんです。
ですので、「タイで働くこと・生活すること」への思いはあるけれども、ご自分の中の軸を探していきたいですとか、実際に私の方で作成するオーダーメイドの求人リストを見てみたいというご要望がございましたら、まずはぜひお気軽にご相談下さい。
取材を終えて
転職というのはもちろん自分の意思だけで実現できるものではありません。
縁とタイミングというのは当然大事でしょうし、自分のスキルや経験によるところももちろんあるはず。
僕自身が初めての海外就職をした時もそうでしたが、情報が限られた中でなかなか全てが思った通りに進まないのが現実です。
そんな状況だからこそ、「粘り強く取り組めるか?」が非常に重要だと強く感じます。そのために必要なのはスキルでも経験でもなく自分の意思、熱量ではないかと思うのです。
もしタイ就職をしようか迷っている方、タイでの転職活動がうまくいかず悩んでいる方がいたら、一度深呼吸をして、自分の熱量をもう一度確かめてみてはいかがでしょうか?